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ほっと一息 人生コラム
vol.42 D.J.サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」を読んで (野崎 孝 訳) 大人のインチキは、社会生活を営むための潤滑油ぐらいに思っている僕が、インチキを嗅ぎ分けてその欺瞞性を暴こうとするホールデン少年にどこまで入っていけるか、この驚異的なベストセラーを初めて読んだ。 高校を退学させられた16歳の少年、ホールデン・コールフィールドが、ニューヨークの街をふらついた時の、悪夢のような3日間の追憶が、湧き上がるように語られていた。一人称で軽快に語る17歳になった彼の言葉は、神経症的で、独特な重苦しい「孤独感」と「優しさ」に満ちていた。 ホールデンは、口は達者だけどコニュニケーションは下手だった。すぐに嘘をつくし、ヘビースモーカーで女好き。大人はみんな敵で、学友とも喧嘩ばかり。一方で、公序良俗的な大人の言葉は嘘っぱちだと見抜き、これを暴こうとする清さに心地よさを感じた。「ステキ」という言葉にインチキなにおいをかぎとる臭覚に、16歳を感じた。 16歳のころの僕はどうだっただろうか。多感な思春期特有の「苦悩」を覚えている。 ...
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11月4日読了時間: 2分


加藤政実のNEWSコラム(2025年11月12月)
「WACNET.5.0から始まる地域創生Ⅰ!」 今日は久しぶりの秋晴れになった。昨年は暑さが11月ごろまで続き暑さ対策に苦慮したが、今年は秋晴れの日が少ない。一日中雨が降り続くことはないが、季節の変わり目の雨ではなく、スコールのような雨や曇り空、小雨と天気が一定していない。10月は、秋晴れが続き秋祭りや運動会など行事が続く時期でもあるが、何故かおかしい。 毎日が決められたスケジュールで決められたように行動して、季節がうつろぎ、年を重ねても一向に何も変わらない、変えない人々の群れ。コロナの頃、車の数が減り、社会の動きが変わるかとも思われた。が今は、車は以前のように渋滞する時間帯は渋滞を繰り返し、車の車種は軽が増えた実感はあるが、完全に元の生活それ以上に戻ってしまった。生活は以前よりさらに苦しく思われる。一向に変わろうとしない人々の群れがこの国でありこの地域である。 2019年10月WACNET.20周年事業として“ 共生き志本主義” をこの地域に提唱させて頂き、2030年Visonをコミットしてから久しい。残された時間は、非常に短い状態にある
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11月4日読了時間: 5分


ほっと一息 人生コラム
vol.41 太宰治「グッド・バイ」を読んで 著者が自死の直前まで執筆していた、朝日新聞連載の未完の小説。これがまたコミカルな作品で、続きが読みたなる内容だった。あらすじ主人公は、34歳、雑誌編集長の田島周二。闇商売で、しこたま、もうけている。彼は愛人を10人近く養っている...
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10月1日読了時間: 2分


ほっと一息 人生コラム
vol.40 梶井基次郎「ある心の風景」を読んで 梶井基次郎の憂鬱は清い。ぐっと深く内面を見つめ、ふっと浮かんだ気持ちを風景に溶かして描く。その詩情豊かな感覚に引き込まれる。 『檸檬』も『城のある町にて』も、自分の気持ちをそこにある風景と対比させながら、静かに描く。ずっ...
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9月4日読了時間: 2分


加藤政実のNEWSコラム(2025年9月10月)
「日本の課題 安楽死 もう眠らせて欲しい!」 お盆13日お墓参りをして迎え盆を済ませ一息の頃、携帯に一通のメールが届く。昔のサラリーマン時代の後輩からで…。数少ないメンターの一人Sさんの訃報であった。ずいぶんご無沙汰していたこと。大きな太陽のような存在で若年の私をしっか...
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9月4日読了時間: 5分


ほっと一息 人生コラム
vol. 39太宰治「火の鳥」を読んで 人生をやり直そうとする女性の物語だった。この作品、太宰の、心中して自分だけが生き残ってしまった経験が動機となっているように思う。しかし、未完のまま終わっている。 <内容> 銀行を襲った須々木乙彦というテロリストが、カフェの女給・高...
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8月11日読了時間: 2分


ほっと一息 人生コラム
vol.38 遠藤周作「海と毒薬」を読んで あまりに暗い色調ばかりで、どんよりとした気分のまま読み終わった。 作品は、戦争末期、大学病院で実際に起きた米軍捕虜の生体解剖事件(いわゆる相川事件)を題材にしたものだった。あらすじについてはウィキペディア「海と毒薬」に託す。...
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7月15日読了時間: 2分


加藤政実のNEWSコラム(2025年7月8月)
「多様性・共生・フラットな視点 ひとはひとりでは生きられない!」 6月中旬真夏34℃の陽ざしが照りつける。熱中症警戒アラートが流れる。地球は沸騰している。この異常気象に人々はその態様に苦慮する中、人もその一部としてからだとこころに警戒アラートがなり続ける。...
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7月15日読了時間: 5分


ほっと一息 人生コラム
vol.37 ゲーテ「若きウェルテルの悩み」を読んで 読み終わり、本を置き、目を閉じる。心にしっくりしない疑問が浮かぶ。 なぜウェルテルは、自殺を決意したのだろうか。 人を愛することと死がどうして結びつくのだろうか。 ...
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6月3日読了時間: 3分


加藤政実のNEWSコラム(2025年5月)
「ぼくらはみんな生きている!」 南海トラフ巨大地震の予報を、マスメディアで聞く機会が多くなってきた。昨日(4月18日)も長野県松川村を震源とする震度5弱の群発地震が発生(20時19分)し、その後も余震が翌日8時まで続く。過去に長野県北部に発生した長野県神城断層地震(平成2...
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5月7日読了時間: 5分


ほっと一息 人生コラム
vol.36 ショーロホフ「人間の運命」を読んで 1956年にソビエト連邦共産党機関紙に掲載された、ノーベル文学賞作家ミハイル・ショーロホフの作品。タイトルにつられて初めて読んだ。 あらすじ 第二次世界大戦が終わって初めての春の日、幼い少年を連れたソ連のトラック運転手ア...
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5月7日読了時間: 3分


加藤政実のNEWSコラム(2025年3月)
「ふるさとであるこの国をとり戻したい!一隅を照らす!!」 弥生3月、木草弥生月(きくさいやおいづき)草木がますます生い茂る月を意味する今、ふるさとこの国を考えてみたい。春はあけぼのやうやう白くなりゆく山ぎは、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたると続く枕草子、清少納...
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4月3日読了時間: 5分


ほっと一息 人生コラム
vol.35 谷崎潤一郎「刺青」を読んで 惚れ惚れするような文章が、奇妙な内容をさらに際立てていた。 谷崎潤一郎をそんなに読んではいないけれど、どれも浮かんでくる映像は、どこか妖艶で耽美的な、それでいて狂気じみている。この作品にも、肉体を傷つける残忍さと自虐的な快楽...
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4月3日読了時間: 3分


ほっと一息 人生コラム
vol.34 向田邦子「思い出トランプ」を読んで ポンポンと歯切れのいい言葉が映像になる。感覚の表現や感情の言葉にも共感する。懐かしい風景にうなずく。昭和のブラウン管が浮かぶ。オノマトペが軽妙で、音までが聞こえてきそう。100年前のまどろっこしい文章ばかりを読んでいたので、...
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4月3日読了時間: 2分


加藤政実のNEWSコラム(2025年1月)
「これからの生き方、2025年」 天空、漆黒の闇の中に光を放す小さな星たち、やがて闇が消え薄いスクリーンに包まれる。その先に水平線が見え、ライトブルーの空とそれに連なる雲が拡がる。チッチッチッと鳥たちは朝を告げ鳴き始める。ゆっくりと二羽の鳥が空を舞う。天空に広がる青い空の...
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2月13日読了時間: 5分


ほっと一息 人生コラム
vol.33 サン=テグジュペリ「夜間飛行」を読んで(二木麻里訳) この犠牲はきっと未来に役立つ。 いま生まれた赤ちゃんがいる。いま死んでいくおじいちゃんもいる。おじいちゃんが頑張ってきたことはきっと誰かの役に立つ。いま生まれた赤ちゃんの役に立つ。ずっと前から社会はそう...
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2月13日読了時間: 3分


ほっと一息 人生コラム
vol.32 大江健三郎「奇妙な仕事」を読んで 大学病院に実験用として飼われている犬150匹を撲殺するアルバイトの話。 この小説は、ノーベル文学賞作家大江健三郎が初めて世に出した作品で、1957年5月東京大学新聞に掲載されたとのことだった。 ...
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2月13日読了時間: 2分


ほっと一息 人生コラム
vol.31 チェーホフ「かもめ」を読んで(神西清訳) 本文ずっと若いころ、何度かアングラ風の演劇を見たことがある。小劇場から伝わる印象はどれも暗かった。人間の心の奥にある葛藤を誇張的に独白したものや、理不尽な社会を描きながら誰かに共感を求めるように手を広げ、薄暗い舞台に...
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2024年11月26日読了時間: 3分


ほっと一息 人生コラム
vol.30 森鷗外「青年」を」読んで 二十歳の頃の自分を思い出す。 人間関係の不器用さから、女性にどう見られるかばかりを気にしていた。大きな主語で語ることで、正直な自分の気持ちを隠していた。思い通りにならない自分が悔しくて、情けなく歩いていた。 ...
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2024年11月26日読了時間: 2分


加藤政実のNEWSコラム(2024年11月)
「いのちの循環 日本人として地域に生きる」 ひとりひとりの生きた証としての人生の営みは、まるで泡のようだ。大きな泡もあれば可愛い泡もある。白く清らかな泡もあれば、どす黒い泡もある。しかし、最後は、一瞬にしてすべて消滅して、みんな同じように自然に帰っていく。そこに未練は存在...
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2024年11月26日読了時間: 5分
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