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ほっと一息 人生コラム
Vol.47 梶井基次郎「Kの昇天ー或はKの溺死」を読んで この短編も、梶井基次郎の不安定な心がにじみ出ていた。彼のグッと内面に入った心象風景に、今年は惹かれっぱなしだ。 自我の分裂の体験からなのか、「自分の影が人格を持ち、魂を月に昇華させる」という幻想的な事象を題材にしたこの物語。奇妙な気持ちのまま3回読んだ。 物語は、青年Kの溺死の原因について思い悩んでいる「あなた」からの手紙に、「私」が返信する書簡体形式で始まる。 「私」が初めてKと会ったのは、満月の夜の海岸。Kは落とし物を探しているかのように、砂を凝視しながら、進んだり、退いたり、立ち止まったり。奇妙なKの行動に、「私」は、思い切って声をかける。 Kは「自分の影を見ていた」という。さらにKは不思議なことを語る。 月に照らされた自分の影をじっと見ていると、影が人格を持ち始め、意識が遠くなり、月に昇っていく感覚があると、突飛 とっぴ なことを言う。 また、「影と『ドッペルゲンゲル』。私はこの二つに、月夜になれば憑 つ かれるんですよ・・・月から射し下ろして来る光線
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3月28日読了時間: 3分


加藤政実のNEWSコラム(2026年5月号)
「歩いて暮らせるまちへ!その先に 見える“バルセロナ スーパーブロック”!」 2040年に向けて豊橋市は、歩いて暮らせるまち区域(居住誘導区域)を都市計画マスタープランの中に謳っている。今回は、歩いて暮らせるまちづくりを考えてみたい。 かつて旅したスペイン、 バルセロナ 。大きな青い空と大きな青い海、ヨーロッパを旅した人にとり、同じ背丈と黒髪、いか、タコ、アンコウ、ヒラメ、カレイなど魚介類が豊富で、シーフードがめちゃくちゃおいしく、日本人が好む。しかもまちは歴史博物館であふれている。世界遺産に指定されたアント二・ガウディの遺作、未完のサグラダファミリア(聖家族教会)、グエル公園、カサ・ミラと波打つ曲線を生かした造形は彫刻家の作品のようであり、圧倒的な芸術性をもつ。 バルセロナ市は、スマートシティ政策のもと、2014年に“欧州イノベーション首都”に選出される。これは革新的なソリューションを通して市民生活を改善した自治体としてヨーロッパ最初の都市となる。駐車場、街路灯、公共交通、ゴミ収集など、様々な行政サービスに積極的なICTを取り入れ、大気、
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3月28日読了時間: 5分


ほっと一息 人生コラム
vol.46 宇野千代「八重山の雪」を読んで 「はる子」と「ジョージ」の無邪気な愛の物語。後先考えずに突き進むそのひたむきさに、心が微笑ましくなった。宇野千代が実話をもとに書き下ろしたとういこの作品、著者の人柄も伝わってくる。 内容 主人公「はる子」が若い頃の「いたずら」を語る形式で始まる。時代は太平洋戦争後2、3年の頃、松江(島根)に駐屯していた英国海軍兵「ジョージ」と出会う。「はる子」には結婚話が進んでいた男がいたが、「ジョージ」と恋に落ち、大金を持ち出して逃げる。すぐに捕まるが「ジョージ」は軍を脱走し、再び「はる子」と島根の山間(現雲市掛合町八重山)で逃亡生活を始める。山間部の叔父の家で穏やかな幾日を過ごすが、やがて二人は最後の日を迎える。(内容おわり) 時代は終戦まもない頃、まだまだ人と違うことで、偏見や差別を受ける社会だったと思う。 そんな中でも、互いに寄り添う優しい想いは、純真そのもの。罪だと分かっていても、自分の気持ちに正直に行動する姿は、危なっかしいけどどこか応援したくなる。なにかと抑圧されていた当時の女性の感情を思う
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3月11日読了時間: 2分


加藤政実のNEWSコラム(2026年3月)
「人間が大好き!私たちは良き祖先になれるだろうか! 」 私は、2022年に「7世代先まで200年事業をめざす 私たちは良き祖先になれるだろうか…!」を掲げ、さらに、今年の年頭所感「WACNET.Vision to 2035」の中で、「自らの後10年宣言」及び世代交代、次世代リーダー育成と「大家族主義宣言」をする。 四季の彩りとそれを上回る気候や自然界の日々目まぐるしく変化する気まぐれさは、人間の多様な価値観と、予想を上回る身勝手さと、その個性はよく似ているように常々感じている。これまでの経験から、いろいろな種類の人々と接してきた。でも一人ひとり、違いその個性は、何人にも代えがたい。自己主張が激しく、悪く言えば言いたい放題、感性を爆発したりする人。自分勝手であるが、可愛さがあったり、感心したり、驚かされることも多い。だから人々に関心があり人間が大好きな自分がそこにはいた。 大集団で大きく社会が動き、効率的に生産をあげ利益を図るマネーが目的の社会から、 個人を生かし人間を大切にしていく社会 が目前に迫っている。ティラノザウルスやブラキオサウルス
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2月16日読了時間: 4分


ほっと一息 人生コラム
vol.45 永井荷風「墨東綺譚」を読んで ぼくとうきたん、「隅田川東岸の物語」という意味らしい。 東京にあった私娼(無許可の闇営業的な娼婦)の街、玉の井(現東京都墨田区)を舞台として描かれた随筆的な小説。 昭和11年、日華事変、勃発直前の重苦しい世相の中で、娼婦との交情を題材とした荷風の代表作。「日本はアメリカの個人尊重もフランスの伝統尊重もない」と考えていた荷風だ。きっとこの作品にも、江戸の下町情緒を残す文化を無視した全体主義に突き進む状況に対する批判や風刺があったに違いない。 しかし、それよりもこの作品の魅力は、売春防止法施行前の風俗と、玉の井という土地柄と、放蕩を繰り返す荷風の息づかいが伝わるところに興味がいく。 物語は、玉の井で出会った娼婦雪子と、老小説家大江匡の男女の交わりと離別が儚 く描かれてる。展開は淡々としている。小説の中でもう一つの小説『失踪』の草案も描かれている。まさに、この老小説家大江は荷風自身なのだ。 そんな中で印象深いのが、大江と、娼婦雪子が初めて出会うシーン。 ”いきなり後方から、「檀那、そこまで
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2月4日読了時間: 3分


ほっと一息 人生コラム
vol.44 森鷗外「牛鍋」を読んで 思わず箸を伸ばしたくなる「牛鍋」を初めて読む。1,800字ぐらいの作品はあっという間に終わる。読み終わった後に、どういうことなのだろうと考える時間が好きだ。 <内容>夫を亡くした女とその幼い娘と亡き夫の友人である男が牛鍋を囲んでいる。男は一人でひたすら箸を動かし牛肉を口に運んでいる。女は「永遠に渇しているような目」で男の動くあごを眺めている。幼い娘は箸を持って牛肉を食べる機会をうかがっている。 幼い娘が牛肉を食べようとすると、「待ちねぇ、それはまだ煮えちゃいねえ」と決まって男が止める。幼い娘は箸を持った手を引っ込める。やがて、どの肉もよく煮えているころ、幼い娘は男に構わず箸を動かし始める。男のすばしこい箸が一層すばしこくなる。「永遠に渇しているような目」をしている女の箸は最後まで動くことはなかった。 語り手は、「牛鍋」を囲んだ3人の様子から、猿の母と子が芋を奪い合う光景を思い出す。そして、「人間は猿より進化している」で終わっている。(内容おわり) 「鍋はぐつぐつ煮える」の書き出しから、スーッと
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1月14日読了時間: 3分


加藤政実のNEWSコラム(2026年1月)
「ウェルビーイングの時代 市民としての役割」 空の果てに北斗七星は耀く。早朝の風が名もない樹々に、雑草に命の声で語りかける。奏でる自然のハーモニー。海のかなた遠く光る灯火。波頭をたて幾重にも留まることを知らない波のシンフォニー、大海原のめざめ。ライトブルーの空はシルクスクリーンに映え、やがて大空に雲たちの造形を創っていく。 2026年これからの地域コミュニティについて考えてみたい。 私たちは、現在の経済を優先させる金融資本主義から市民生活、個人を優先させる共生き志本主義にシフトチェンジすることを前提としたい。 東三河の将来人口100万人と想定してみると、狭域コミュニティは、立地の条件などを考慮して家族で100世帯から300世帯、人口規模では一つの単位は1,200人をめざす。但し、立地地形を考慮した場合最低200人~最大1200人と推定する。中域コミュニティブロック圏は人口規模1万人とし、広域コミュニティは、現在の行政区分をそのまま世襲してまずは進むこととする。 つながる狭域コミュニティを形成するには、リーダー育成が欠かせない。将来にわた
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1月14日読了時間: 4分


ほっと一息 人生コラム
vol. 43太宰治「駆け込み訴え」を読んで イスカリオテのユダ(新約聖書に出てくるイエス・キリストの弟子のひとり)の視点で、「旦那さま」という誰かよくわからない人に、イエスに対する感情を述べるという形式で書かれていた。 混乱するユダの苦悩やその感情に至った経緯を太宰なりの言い回しで表現している。そこがおもしろい。しっかりと読んだ記憶がない新約聖書や「ユダの福音書」にも興味を持った。 太宰の小説の中では、「私」であるユダが、「あの人」であるイエスの酷さを、官憲であろう「旦那さま」という人に、切々と訴える。 「あの人を私の手で殺して私も死ぬ」と。 「過去にはあの人に尽くして愛情を持っていたこともあったが、あの人は変わってしまった」と。 そして、「弟子たちの足洗いの場面で、イエスの言動がユダの気持ちを決定的にした」と。 イエスは弟子たちを前にして「みんなが清ければいいのだが・・」と、この弟子たちの中には裏切り者がいることを悟っているかのようにいう。そして、弟子たちの口に一切れのパンを入れたものがその者だとして、イエスはユダの
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2025年12月9日読了時間: 3分


ほっと一息 人生コラム
vol.42 D.J.サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」を読んで (野崎 孝 訳) 大人のインチキは、社会生活を営むための潤滑油ぐらいに思っている僕が、インチキを嗅ぎ分けてその欺瞞性を暴こうとするホールデン少年にどこまで入っていけるか、この驚異的なベストセラーを初めて読んだ。 高校を退学させられた16歳の少年、ホールデン・コールフィールドが、ニューヨークの街をふらついた時の、悪夢のような3日間の追憶が、湧き上がるように語られていた。一人称で軽快に語る17歳になった彼の言葉は、神経症的で、独特な重苦しい「孤独感」と「優しさ」に満ちていた。 ホールデンは、口は達者だけどコニュニケーションは下手だった。すぐに嘘をつくし、ヘビースモーカーで女好き。大人はみんな敵で、学友とも喧嘩ばかり。一方で、公序良俗的な大人の言葉は嘘っぱちだと見抜き、これを暴こうとする清さに心地よさを感じた。「ステキ」という言葉にインチキなにおいをかぎとる臭覚に、16歳を感じた。 16歳のころの僕はどうだっただろうか。多感な思春期特有の「苦悩」を覚えている。 ...
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2025年11月4日読了時間: 2分


加藤政実のNEWSコラム(2025年11月12月)
「WACNET.5.0から始まる地域創生Ⅰ!」 今日は久しぶりの秋晴れになった。昨年は暑さが11月ごろまで続き暑さ対策に苦慮したが、今年は秋晴れの日が少ない。一日中雨が降り続くことはないが、季節の変わり目の雨ではなく、スコールのような雨や曇り空、小雨と天気が一定していない。10月は、秋晴れが続き秋祭りや運動会など行事が続く時期でもあるが、何故かおかしい。 毎日が決められたスケジュールで決められたように行動して、季節がうつろぎ、年を重ねても一向に何も変わらない、変えない人々の群れ。コロナの頃、車の数が減り、社会の動きが変わるかとも思われた。が今は、車は以前のように渋滞する時間帯は渋滞を繰り返し、車の車種は軽が増えた実感はあるが、完全に元の生活それ以上に戻ってしまった。生活は以前よりさらに苦しく思われる。一向に変わろうとしない人々の群れがこの国でありこの地域である。 2019年10月WACNET.20周年事業として“ 共生き志本主義” をこの地域に提唱させて頂き、2030年Visonをコミットしてから久しい。残された時間は、非常に短い状態にある
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2025年11月4日読了時間: 5分


ほっと一息 人生コラム
vol.41 太宰治「グッド・バイ」を読んで 著者が自死の直前まで執筆していた、朝日新聞連載の未完の小説。これがまたコミカルな作品で、続きが読みたなる内容だった。あらすじ主人公は、34歳、雑誌編集長の田島周二。闇商売で、しこたま、もうけている。彼は愛人を10人近く養っている...
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2025年10月1日読了時間: 2分


ほっと一息 人生コラム
vol.40 梶井基次郎「ある心の風景」を読んで 梶井基次郎の憂鬱は清い。ぐっと深く内面を見つめ、ふっと浮かんだ気持ちを風景に溶かして描く。その詩情豊かな感覚に引き込まれる。 『檸檬』も『城のある町にて』も、自分の気持ちをそこにある風景と対比させながら、静かに描く。ずっ...
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2025年9月4日読了時間: 2分


加藤政実のNEWSコラム(2025年9月10月)
「日本の課題 安楽死 もう眠らせて欲しい!」 お盆13日お墓参りをして迎え盆を済ませ一息の頃、携帯に一通のメールが届く。昔のサラリーマン時代の後輩からで…。数少ないメンターの一人Sさんの訃報であった。ずいぶんご無沙汰していたこと。大きな太陽のような存在で若年の私をしっか...
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2025年9月4日読了時間: 5分


ほっと一息 人生コラム
vol. 39太宰治「火の鳥」を読んで 人生をやり直そうとする女性の物語だった。この作品、太宰の、心中して自分だけが生き残ってしまった経験が動機となっているように思う。しかし、未完のまま終わっている。 <内容> 銀行を襲った須々木乙彦というテロリストが、カフェの女給・高...
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2025年8月11日読了時間: 2分


ほっと一息 人生コラム
vol.38 遠藤周作「海と毒薬」を読んで あまりに暗い色調ばかりで、どんよりとした気分のまま読み終わった。 作品は、戦争末期、大学病院で実際に起きた米軍捕虜の生体解剖事件(いわゆる相川事件)を題材にしたものだった。あらすじについてはウィキペディア「海と毒薬」に託す。...
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2025年7月15日読了時間: 2分


加藤政実のNEWSコラム(2025年7月8月)
「多様性・共生・フラットな視点 ひとはひとりでは生きられない!」 6月中旬真夏34℃の陽ざしが照りつける。熱中症警戒アラートが流れる。地球は沸騰している。この異常気象に人々はその態様に苦慮する中、人もその一部としてからだとこころに警戒アラートがなり続ける。...
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2025年7月15日読了時間: 5分


ほっと一息 人生コラム
vol.37 ゲーテ「若きウェルテルの悩み」を読んで 読み終わり、本を置き、目を閉じる。心にしっくりしない疑問が浮かぶ。 なぜウェルテルは、自殺を決意したのだろうか。 人を愛することと死がどうして結びつくのだろうか。 ...
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2025年6月3日読了時間: 3分


加藤政実のNEWSコラム(2025年5月)
「ぼくらはみんな生きている!」 南海トラフ巨大地震の予報を、マスメディアで聞く機会が多くなってきた。昨日(4月18日)も長野県松川村を震源とする震度5弱の群発地震が発生(20時19分)し、その後も余震が翌日8時まで続く。過去に長野県北部に発生した長野県神城断層地震(平成2...
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2025年5月7日読了時間: 5分


ほっと一息 人生コラム
vol.36 ショーロホフ「人間の運命」を読んで 1956年にソビエト連邦共産党機関紙に掲載された、ノーベル文学賞作家ミハイル・ショーロホフの作品。タイトルにつられて初めて読んだ。 あらすじ 第二次世界大戦が終わって初めての春の日、幼い少年を連れたソ連のトラック運転手ア...
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2025年5月7日読了時間: 3分


加藤政実のNEWSコラム(2025年3月)
「ふるさとであるこの国をとり戻したい!一隅を照らす!!」 弥生3月、木草弥生月(きくさいやおいづき)草木がますます生い茂る月を意味する今、ふるさとこの国を考えてみたい。春はあけぼのやうやう白くなりゆく山ぎは、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたると続く枕草子、清少納...
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2025年4月3日読了時間: 5分
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